人間より牛が多い田舎で雇用を10倍にするチーズ屋さんの話。

人間よりも、牛の方が多いまちってあるの?

乳用牛の飼養頭数:134万5,000頭

肉用牛の飼養頭数:247万9,000頭

by 農林水産省(平成28年2月1日現在)

これは農林水産省のHPに掲載されている畜産統計。

単純に合計すれば、日本全国には382万4,000頭もの牛さんが飼育されているということになりますね。

では、人間は日本全国に何人いるのかというと、総務省統計局のHPに書いてありました。

人間の数:1億2649万人

by 総務省統計局(平成30年5月1日現在)

当たり前ですが、人間の方が圧倒的に多いです。比べるほどでもない。

 

でもオホタは北海道にありますから、これが逆になる地域があったりするんです。

ファンマガさんがすでに調査済みなので引用させていただきます。

▼日高管内 新冠町 / ▼上川管内 愛別町 / 下川町 / 美深町 / 中川町 / ▼留萌管内 初山別村 / 遠別町 / 天塩町 / ▼宗谷管内 猿払村 / 浜頓別町 / 中頓別町 / 枝幸町 / 豊富町 / 幌延町 / ▼オホーツク管内 紋別市 / 津別町 / 小清水町 / 訓子府町 / 置戸町 / 佐呂間町 / 湧別町 / 滝上町 / 興部町 / 西興部村 / 雄武町 / 大空町 / ▼十勝管内 士幌町 / 上士幌町 / 鹿追町 / 新得町 / 清水町 / 芽室町 / 中札内村 / 更別村 / 大樹町 / 広尾町 / 池田町 / 豊頃町 / 本別町 / 足寄町 / 陸別町 / 浦幌町 / ▼釧路管内 厚岸町 / 浜中町 / 標茶町 / 弟子屈町 / 鶴居村 / 白糠町 / ▼根室管内 別海町 / 中標津町 / 標津町

別海町だけじゃない!人より牛のほうが多い市町村は幾つあるの? by北海道ファンマガジン

・・・人間より牛が多いまち、普通にあった。

北海道内179市町村のうち、51市町村ですって。

オホーツク管内は18市町村中12市町村も含まれていました。なかなか多いなぁ・・!

 

興部町も、人間より牛の方が多いまちのひとつ

さて、今日の舞台は興部町。読めませんよね。”おこっぺちょう”です。

興部町は紋別から30分ほど北上したところにある人口3,851人(2018年5月末日)の小さなまち。

今から300年以上も前は、松前藩の漁場として支配されていた地域でした。

それから100年以上の時を経て明治22の年に沙留に和人が定住してからは、続々と入地者が来て地域一帯が開発されていきました。

その後、大正10年に国鉄名寄線が全通したおかげで今の興部近隣が農業・林業・漁業の一次産業で発展。それによって商工業も発展し、昭和26年に町制が施行されて今の「興部町」が完成したんです。

 

ところで。

人口3,851人の興部町には何頭の牛がいるでしょうか??

 

平成28年度の「興部町酪農・肉用牛生産近代化計画書」をみると

乳牛総頭数は10,704頭。

肉用牛総頭数は1,142頭。

合わせて11,846頭が興部町で暮らしているということになりますね。

ってことは、人間の3倍・・!!? 驚き!!!!

 

興部町にある”ノースプレインファーム”に行ってきた。

きっかけは北見のへっぽこ

HEPPOCO公式HPより引用

 

最近、筆者が出会った北見のイイお店の中に「HEPPOCO」というチーズのお店があります。

そのお店で筆者が感動したのは、デザートのような美しいカットの興部チーズ。

客の好みに合わせて盛られたチーズたちはどれも興部産。オーナーの興部愛、半端ないって!

(気づいた? HEPPOCOって名前って興部を文字ってるの)

 

なんでそこまで興部にこだわるのか、生産者の方に合わせて欲しいと筆者、懇願。なんと二つ返事で約束を取り付けてくれたので、興部まで車飛ばしました。

北見からだと2時間くらいの距離です。ディズニーランドから筑波山くらいの距離。

 

ノースプレインファームは乳製品やさん。

行ってみると、ノースプレインファームは、牛さんを飼って乳製品をつくる会社でした。

HEPPOCOオーナーからご紹介いただいたのは、およそ12年前に札幌から移住してノースプレインファームに参画し、現在では常務取締役を務める吉田年成さん(お顔はNG!残念!)と、営業部の大黒有梨さん。

「はじめまして」の挨拶もほどほ・・キターーーーー!チーズ!!!

 

北海道のナチュラルチーズって、フレッシュタイプ、セミハード・ハードタイプ、パスタフィラータタイプ、白カビ・青カビタイプ、ウォッシュタイプ、シェーブルタイプの6つのタイプがあって。

そこからさらにフレッシュタイプならクリームチーズだとかフロマージュブランだとか、マスカルポーネって感じで種類がぶわーーーって分かれていくんだって。( ↓ こんな感じ)

代表的なチーズ
フレッシュタイプ クリームチーズ・フロマージュブラン・マスカルポーネ・リコッタ・カッテージなど
セミハード・ハードタイプ ゴーダ・チェダー・ラクレット・ミモレット・エメンタールなど
パスタフィラータタイプ モッツァレラ・カチョカヴァロ・プロヴォローネ・さけるチーズなど
白カビ・青カビタイプ 白カビ:カマンベール・ブリーなど

青カビ:ロックフォール・ゴルゴンゾーラなど

ウォッシュタイプ タレッジオ・エポワス・マンステールなど
シェーブルタイプ ヴァランセ・サントモール・クロタンなど

 

ノースプレインファームがつくっているチーズはあんまり多くなく、モッツァレラ1種類と、セミハード7種類。セミハードの中でハーブを入れたり、スモークにしたり、工夫して商品化をしているんだそうです。

吉田さんは、バリエーションを増やしてお客様の嗜好に合わせるのももちろんいいけど、とにかく品質に徹底してこだわっていると教えてくれました。

そのおかげで、お客さんは興部町近隣だけではなく、ドライブがてら濃厚ソフトクリーム食べに来た!カップルもいれば、ツーリングの休憩でお昼ご飯食べに来た!メンズ集団もいれば、素材本来の美味しさを求める主婦たちもいれば。牧場に併設するミルクホールは大賑わい!

 

生キャラメルが爆発的に売れた背景には、生乳の生産調整なるものがあったらしい

有名な花畑牧場の生キャラメル。人気大爆発したときのことを皆さんは覚えていますか?

実は、この生キャラメルのレシピを考案したのはノースプレインファームだったんです。考案というか、元はノースプレインファームの商品だったんです。

なんか不穏な空気を感じますが、当時も、今も、誰も問題として取り上げません。なんで・・?

 

今から12年前くらいのこと。牧場で生産される生乳が余って余って仕方がない時期がありました。生乳をつくる農家さんには「一定量作らないで」という業界の自主規制が。

でも、搾らなければ牛さんの体調が悪くなって、生乳を生産することができなくなる。そんな悪循環。

そこで興部町内の関係者が提案したのは”生乳の用途を拡大すること”でした。とにかく生乳を使って商品開発して!美味しいものを作ればみんな食べるよ!と。

その中で作られたのがあの「生キャラメル」。生キャラメルってすんごくバターや生クリームを使うんですって。バターは20倍くらい、生クリームは10倍くらい牛乳を使うんですって!

だから、「いいこと考えついた!生キャラメル!みんなもこれ作ろうよ!」って感じで各所で作られるようになって、たまたまヒットしたのが花畑牧場だったってわけで、生キャラメルの大ヒットには農家さんも、牛さんも大喜びだったってわけなんです。

当時、地域の素材を使うというコンセプトで、ノースプレインファームの生キャラメルには、北見の砂糖や水飴、遠軽のはちみつなど、近郊の素材がふんだんに使用されていたようです。

 

搾乳頭数は家族経営できるくらい小規模なのに、社員はそれのおよそ10倍も雇用

もともとは酪農のみで経営してきたノースプレインファーム。

1代目は畑作。2代目から酪農。4代目に変わって昭和63年に加工販売を取り入れた経営に転換。

1次産業を担いながら食品加工・販売にも業務を展開する多角化経営。いわゆる6次産業ってやつですね。

この経営形態に変換することによって、クオリティを最大限高めることができるのではないかと考えます。それは、原料を理解しているから。お客様に失礼のないようにしっかり作り上げようといつまでもクオリティを上げる作業を怠らないのがノースプレインファームなのです。

 

ノースプレインファームが飼育する牛さんの中で搾乳できる牛さんの数は50頭ほど。この数って、2〜3人の家族経営でも良いくらい小規模なんです。

でも、ノースプレインファームが雇用する人数はおよそ40名。そう考えるとめっちゃ多い。多すぎる。

ノースプレインファーム社長の「興部に就職できる場所を作りたい」という願いも叶える経営。

なぜ40名も雇用できるのかといったら、牧場仕事以外に、工場、レストランを動かしているから。3,851人のまちで40名の雇用をしてくれるノースプレインファームは、町にとってめっちゃありがたい存在ですよね。

ちなみに、生キャラメルの人気が大爆発した時期は120名も雇用していたんですって。興部バブル!!

実際、地元民の就職はもちろん、道内各所、遠いところで本州から移住して働いてくれているスタッフさんがいるんですって。今回お話を伺っている吉田さんもそのひとり。

吉田さんはもともと札幌で勤めていたそうですが、今から12年前に興部に移住してきました。当時はチーズ製造から携わり、モノを一からつくる面白さを実感したと言います。

 

ノースプレインファームがつくる!素材にこだわった乳製品を買うなら

ノースプレインファームはチーズの種類こそ少ないのですが、少ないからこそ1つ1つの製品と向き合い、シンプルながらも最大限に美味しい商品を作り出します。

もちろん添加物は使っておらず、素材本来の美味しさをそのままに、加工をして最大限に美味しくするという努力は今でも欠かしません。

「美味しくできたし、お客さんがついてるからそのままで!それってお客さんに失礼だと思うんです。」吉田さんは、お客様のためにも、牛さんのためにも、品質向上だけは絶対に欠かさないと言います。

興部町の雄大な自然の中のびのびと育った牛さんから作られるノースプレインファームの商品は、牧場併設のミルクホールでお買い求めいただけます。

オンラインショップもあります。

クリック ▷ ノースプレインファーム公式サイト